軸受(ベアリング)

軸受(ベアリング)のグリース(グリス)って何?

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軸受(ベアリング)のグリース(グリス)って何?

軌道面に油膜を作り、軸受を円滑に回転させてくれます。

 

<この内容の解説者>

ぎじゅやま
ぎじゅやま
【経歴】元軸受メーカー技術者。現在は、自動車部品メーカー技術者。

【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)

<詳細解説>

軸受には、潤滑剤が必須です。潤滑剤のおかげで長時間回転することを可能にしています。

潤滑剤といえば、KURE5-56のように金属に油を吹きかけて、スムーズに動くようになるって見たことあると思うんです。

もちろん、油も潤滑剤ですが、今回はグリース(グリス)について説明します。

 

1. グリースの原料は?

基本的には、ほとんど油です。その油(基油といいます)に、増ちょう剤と添加剤を入れて、半固体状にしたものがグリースです(油は液体ですよね)。

イメージですけど、網目の細かい網(増ちょう剤)で基油がどこへでも自由に行かないようにつかんでいる感じです。添加剤は、酸化防止したり、極圧したりと付加機能を与えています。

2. グリース潤滑の仕組みは?

油潤滑とグリース潤滑に違いはありますが、どちらも最終的に油で潤滑しています。グリース潤滑は、繰り返しの負荷や温度上昇を受けて滲み出た基油が潤滑の役割をしています。

その基油が内外輪の軌道面に油膜を形成し、円滑に回転させてくれます。

3.  運転中のグリースの状態は?

上述した通り、グリースは半固体状をしています。軸受回転前は、軸受内部にグリースが封入されています(下図①)。軸受が回転すると、軌道面のグリースはほとんど無くなり、保持器や軸受近傍のハウジングに付着します(下図②)。

これじゃすぐに潤滑できなくなって壊れてしまうんじゃないかって感じますが、これでいいんです。軌道面は、最小限のグリースがあればいいんです。運転が続くと、保持器や軸受近傍にあるグリースから基油が滲み出てきます(下図③)。この滲み出た基油が軌道面に流れ、適切な油の量で潤滑をしてくれます。

 

ここで追加知識

グリースやグリスって聞くけどどっちが正しいの?

一般的には、「グリス」って呼ぶ人が多いと思います。個人的には、ミニ四駆のパーツにグリスってあるんで、その影響で「グリス」って呼んじゃいます。

正式には、「グリース」と呼ぶべきだと思います。英語の「Grease」の発音はグリースですし、JISでも「グリース」ってなってますからね。

 

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