軸受(ベアリング)

日本の軸受(ベアリング)メーカーといえば?

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日本の軸受(ベアリング)メーカーといえば?

軸受業界は、寡占であり、「NSK」、「NTN」「JTEKT」でシェアの大半を占めています。

<この内容の解説者>

ぎじゅやま
ぎじゅやま
【経歴】元軸受メーカー技術者。現在は、自動車部品メーカー技術者。

【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)

<詳細解説>

軸受メーカーに就職活動や転職活動をしている方も居ると思います。そこで、軸受業界の主要3社について、企業研究の材料をお伝えします。

 

1. 軸受業界主要3社の会社概要

日本国内の軸受業界主要3社の会社概要を下表にまとめました。会社概要は、各企業HPの会社概要ページおよび2020年3月期決算説明会資料を参照しました。

日本精工株式会社(証券コード6471)】

日本で最も古い軸受メーカーであり、軸受の売上高が日本一。英語表記のNSKと呼ぶことが多い。軸受の刻印は「NSK」。

NTN株式会社(証券コード6472)】

日本で2番目に古い軸受メーカー。ハブベアリングシェア世界1位。ドライブシャフト世界シェア2位。海外売上比率が高い。軸受の刻印は、「NTN」。

株式会社ジェイテクト(証券コード6473)】

1921年から光洋精工が軸受を生産しており、2006年に光洋精工と豊田工機が合併して発足した会社。そのため、軸受の刻印は、「KOYO」。軸受だけでなく、工作機も主力事業。

会社名 日本精工株式会社
NSK Ltd.
NTN株式会社
NTN Corporation
株式会社ジェイテクト
JTEKT CORPORATION
創立 1916年11月8日 (大正5年) 1918年3月 2006年1月
資本金 [億円] 672 543 456
本社 〒141-8560 東京都品川区大崎1-6-3 (日精ビル) 〒550-0003 大阪府大阪市西区京町堀1丁目3番17号 〒448-8652 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地
代表者 取締役 代表執行役社長・CEO 内山 俊弘 取締役 代表執行役 執行役社長 CEO 大久保 博司 取締役社長 佐藤 和弘
従業員数(連結) [人] 30,747
(2020年3月31日現在)
24,199
(2020年3月末現在)
49,933
(2020年3月現在)
売上高(連結) [億円]
(2020年3月期)
8,310 6,515 14,185
海外売上比率 [%]
(2020年3月期)
62.6 69.6 57.3
売上高(産業機械軸受) [億円]
(2020年3月期)
1,898 1051 N/A
売上高(自動車軸受) [億円]
(2020年3月期)
3,133 2185※1 N/A
売上高(軸受事業合計) [億円]
(2020年3月期)
5,031 3236※2 3,805
※1 NTNの自動車軸受の売り上げは推定。自動車事業の売り上げの1/2とした。
※2 補修事業の売上(1,094億円)を加算すれば、国内2位の売上4,330億円となる。

2.  軸受業界主要3社の開発拠点

就職、転職活動で重要となる勤務地の情報をまとめました。各企業HPの国内拠点から開発拠点と考えられる場所は下記の通りです。

関東で働きたい・・・日本精工、ジェイテクト(東部テクニカルセンター)

関西で働きたい・・・ジェイテクト(西部テクニカルセンター)

東海で働きたい・・・NTN、ジェイテクト(中部テクニカルセンター)

日本精工株式会社

  • 藤沢技術開発センター(神奈川県藤沢市)

NTN株式会社

  • 総合研究開発センター(静岡県磐田市)
  • 産業機械技術開発センター(三重県桑名市)
  • 先端技術研究所(三重県桑名市)

株式会社ジェイテクト

  • 軸受事業本部 東部テクニカルセンター(埼玉県狭山市)
  • 軸受事業本部 中部テクニカルセンター(愛知県豊田市)
  • 軸受事業本部 西部テクニカルセンター(大阪府柏原市)

3.  軸受業界主要3社の最新軸受

軸受内部諸元(玉の外径)を変更したり、荷重センサを入れたり、軸受材料を変更したりと各社様々な軸受を開発しています。

日本精工株式会社

工作機械主軸用 高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受『ROBUSTDYNA™(ロバストダイナ™)』(プレスリリース2020年11月6日)

用途・・・重切削加工やワイドレンジ加工を行う工作機械

効果・・・耐衝撃性が高いため、長期間使用可能。荒加工から仕上げ加工まで可能。

☆ポイント

  1. 大径のボールを採用し、従来品に比べ荷重負荷能力を15%高め、寿命(動定格荷重)は最大3倍。動定格荷重は、玉の直径が大きいほど大きくなる。
    ⇒重切削加工が可能になり、加工時間の短縮。
  2. 従来品に比べ耐衝撃性能(静定格荷重)を30%高め、衝突(ぶつけ)時の軸受損傷リスクを低減。静定格荷重は、玉の直径が大きいほど大きくなる。
    ⇒スピンドルの長期安定稼働。
  3. 超高速性能

NSK独自の耐熱・耐摩耗性に優れたSHX鋼の採用により従来品同等の超高速性、dmN300万(※)。SHX鋼は、NSKが開発した軸受用材料。温度上昇に伴う硬度低下が小さい材料。
⇒重切削化に加えて、高速回転を実現でき、仕上げ加工も可能。

※dmN:「軸受のピッチ円径(dm)」と「回転数(n)」の積であり、軸受の回転性能を示す指標。

NTN株式会社

工作機械主軸用「センサ内蔵軸受ユニット」(プレスリリース2020年11月6日)

用途・・・製造現場の省人化や無人化を狙う工作機械。

効果・・・主軸用軸受の焼付きの未然防止につながるほか、加工状態の監視や軸受の組み付けなどを簡素化。

☆ポイント

  1. 外輪間座に荷重センサを内蔵。
    ⇒軸受に負荷される荷重の変化を検出。予圧荷重の高精度な測定。
  2. 小型・高出力の電磁式発電機と、小型で消費電力を抑えた無線モジュールを軸受ユニットに内蔵
    ⇒ワイヤレス化し、データ伝送のケーブル不要。

株式会社ジェイテクト

腐食環境用 長寿命 Siフリー 深溝玉軸受コロガードプロベアリング®-AZ(プレスリリース2020年12月16日)

用途・・・窒化けい素が使えない厳しい酸性環境下での使用。腐食環境(溶液やガス環境)で使用。

効果・・・高い対称性と耐荷重性により長寿命。メンテナンス回数の削減。

☆ポイント

世界で初めてアルミナ-ジルコニア複合材料を軸受に使用
⇒高い耐久性と酸環境での耐性の両立。

 

ここで追加知識

海外の軸受(ベアリング)メーカーは?

軸受を開発したSKFを筆頭にシェフラーやティムケンなどが有名な企業です。特にSKFは軸受シェア世界一であり、SKFの技術者が実施した基礎研究データが基準となっています。詳細は、別の機会で説明します。

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