目次
軸受(ベアリング)と軸のはめあいはどれくらがいいの?
軸受(ベアリング)と軸のはめあいはどれくらがいいの?
軸受に負荷される荷重や温度を考慮し、空回りしないはめあいにします。
軸受に負荷される荷重や温度を考慮し、空回りしないはめあいにします。
<この内容の解説者>
【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)
<詳細解説>
まずは、はめあいって知っていますか?
簡単に言うと、「軸と穴がはまるところの組み合わせ」です。
下図の通り、穴と軸があり、「穴径>軸径」であれば軸を穴に入れることができます。
ただし、穴径が軸径よりはるかに大きいと「はめあい」することはできず、すぐに軸と穴が分かれてしまいますね。
実際の穴径と軸径の寸法差は、数μmほどしかありません。
「はめあい」の種類には、下記の3つあります。
- 軸径と比べて、数μmだけ穴径が大きい「すきまばめ」
- 軸径と比べて、数μmだけ穴径が小さい「しまりばめ」
- 軸径と比べて、数μmだけ穴径が大きかったり小さかったりする「中間ばめ」
今回は、軸受をしまりばめする際の説明をします。
1. 軸受のしめしろ
軸受を軸にしまりばめする時、軸径に対し、軸受の穴径を数μm小さくします(下図参照)。軸受の内輪が少し膨張し、軸にはまります。
軸径と穴径の寸法差をしめしろと言います。
しめしろがあることにより、軸受が軸から抜けることがなくなります。
軸受のはめあいは、運転中のどんな状態(荷重が負荷されたり、軸受の温度が高温になったり)でもしめしろを持っていることが必須です。
2. 軸受のしめしろ減少に影響を及ぼす因子
しめしろ減少は、主に下記3因子が影響します。
- ラジアル荷重
軸受内輪は、ラジアル荷重によって半径方向に圧縮されます。その時、円周長さが長くなり、しめしろが減少します。 - はめあい面の表面粗さ
軸の表面は肉眼では分からない細かな凹凸があります。軸受をはめた時、軸の凹凸がならされ、わずかに軸径が小さくなります。そのため、しめしろが減少します。 - 温度
運転中の軸受は、荷重を受けて周囲の温度より高くなります。荷重を受けた軸受内輪は、軸より高温になり熱膨張によってしめしろが減少します。
3. 軸受の適正しめしろ
上述したように、軸受のはめあいは、どんな時もしめしろを持っている必要があります。
それなら、軸受の穴径をかなり小さくしておいて、絶対に抜けないようにすればいいじゃないか?って思うと思います。
しめしろがあるということは、軸受内輪が膨張して軸にはまっています。膨張しているため、軸受内輪に応力が発生します。
この応力は、しめしろがあるほど大きくなり、大きくなりすぎると、軸受内輪が耐えられなくなり割れてしまいます。
ここで追加知識
ここで追加知識
適切なはめあいじゃなかったらどうなるの?
軸受のはめあいは、しっかり検討しなければなりません。
はめあい不良による不具合として下記のようなことがあります。
・軌道輪(しまりばめする内輪or外輪)の割れ
【原因】高しめしろ
・クリープ(空回り)、フレッチングコロージョン
【原因】しめしろ不足