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令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)07

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令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)07

【正答番号:

 

<この内容の解説者>

ぎじゅやま
ぎじゅやま

【経歴】元軸受メーカー技術者。現在は、自動車部品メーカー技術者。技術士一次試験(機械)合格。

【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)

<問題>

下図に示すように,同一の材料でできた段付き丸棒の両端を固定し,段付き部にねじりモーメントTを負荷する。このとき,段付き部に生じるねじり角として,最も適切なものはどれか。ただし,材料の横弾性係数をGとする。

 \(\displaystyle\frac{64Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_1+d_2^4l_2\right)}\)

 \(\displaystyle\frac{64Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_2+d_2^4l_1\right)}\)

 \(\displaystyle\frac{32Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_1+d_2^4l_2\right)}\)

④ \(\displaystyle\frac{32Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_2+d_2^4l_1\right)}\)

⑤ \(\displaystyle\frac{16Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_1+d_2^4l_2\right)}\)

【正答番号:④】

出典元: 公益社団法人日本技術士会

解説

材料力学の問題です。まず、下記の丸棒のねじりの公式を思い出しましょう。

\(\displaystyleせん断力\tau=G\gamma=\frac{Tr}{I_P}\)・・・①

\(\displaystyleねじれ角\phi=\frac{Tl}{GI_P}\)・・・②

\(G\)・・・横弾性係数

\(\gamma\)・・・せん断ひずみ

\(T\)・・・トルク(モーメント)

\(r\)・・・半径

\(I_P\)・・・断面二次極モーメント

\(l\)・・・棒の長さ

 

あとは、丸棒の断面二次極モーメントの公式思い出しましょう。

\(I_P=\frac{\pi}{32}d^4\)・・・③

\(d\)・・・丸棒の直径

 

問題の図に固定端の記号とトルクを追加すると下図のようになります。

モーメントのつり合いを考えると、

\(T_A-T+T_B=0\)・・・④

各棒の断面二次極モーメントを計算しておきます。③式を用いて計算すると、

\(I_{P1}=\frac{\pi}{32}d_1^4\) ,  \(I_{P2}=\frac{\pi}{32}d_2^4\)・・・・⑤

棒の長さ\(l_1\)と\(l_2\)のねじれ角は、②式を用いると、

\(\displaystyle \phi_1=\frac{T_Al_1}{GI_{P1}}\) , \(\displaystyle \phi_2=\frac{T_Bl_2}{GI_{P2}}\)

先ほど求めた断面二次極モーメント⑤式を代入すると、

\(\displaystyle \phi_1=\frac{T_Al_1}{GI_{P1}}=\frac{T_Al_1}{G\left(\frac{\pi}{32}d_1^4\right)}=\frac{32T_Al_1}{\pi Gd_1^4}\)

\(\displaystyle \phi_2=\frac{T_Bl_2}{GI_{P2}}=\frac{T_Bl_2}{G\left(\frac{\pi}{32}d_2^4\right)}=\frac{32T_Bl_2}{\pi Gd_2^4}\)

各モーメントに関する式に変形すると

\(\displaystyle T_A=\frac{\pi Gd_1^4}{32l_1}\phi_1\) , \(\displaystyle T_B=\frac{\pi Gd_2^4}{32l_2}\phi_2\)

ここで、A、B各点は固定端であるため、ねじりモーメント\(T\)が発生する点で、\(\phi_1=\phi_2=\phi\)となるから、

\(\displaystyle T_A=\frac{\pi Gd_1^4}{32l_1}\phi\) , \(\displaystyle T_B=\frac{\pi Gd_2^4}{32l_2}\phi\)・・・⑥

⑤式を②式に代入して、

\(\displaystyle \frac{\pi Gd_1^4}{32l_1}\phi-T+\frac{\pi Gd_2^4}{32l_2}\phi\)

\(\displaystyle \frac{\pi G}{32}\left(\frac{d_1^4}{l_1}+\frac{d_2^4}{l_2}\right)\phi=T\)

\(\displaystyle \frac{\pi G}{32}\left(\frac{d_1^4l_2+d_2^4l1}{l_1l_2}\right)\phi=T\)

\(\displaystyle \phi=\frac{32Tl_1l_2}{\pi G\left(d_1^4l_2+d_2^4l_1\right)}\)

 

よって、正解は「④」です。

 

この問題で問われていることは?

ねじりモーメント、ねじれ角を理解しているか。

世の中にある製品は、回転する力を活用して、軸を回しています。軸の強度を計算するとき、ねじりモーメントやねじれ角を理解していないと計算できません。

ユーザーの要求仕様から発生する応力を算出し、必要な軸径や材料を検討しましょう。

 

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