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令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)15
令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)15
【正答番号:⑤】
【正答番号:⑤】
<この内容の解説者>
【経歴】元軸受メーカー技術者。現在は、自動車部品メーカー技術者。技術士一次試験(機械)合格。
【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)
<問題>
振動系における減衰の説明として,最も不適切なものはどれか。
① 減衰が存在するとき,共振時の応答は有限の振幅になる。
② 減衰が存在するとき,自由振動は時間とともにゼロに収束する。
③ 減衰が大きい場合は,減衰が無い場合に比べて共振周波数は小さくなる。
④ 減衰比が1より大きいときを過減衰という。
⑤ 減衰比は(カ/速度)の次元を持つ。
【正答番号:⑤】
出典元: 公益社団法人日本技術士会
解説
機械力学の問題です。まず、1自由度振動系の運動方程式を思い出しましょう。
\(\displaystyle m\frac{d^2x}{dt^2}+c\frac{dx}{dt}+kx=0\)・・・①
\(m\)・・・質量
\(c\)・・・減衰係数
\(k\)・・・ばね定数
この運動方程式の解は、\(x=Ae^{\lambda t}\)と仮定し、次式で表されます。
\(\displaystyle \lambda=\frac{-c±\sqrt{c^2-4mk}}{2m}\)・・・②
②式のルート内が0となる時が臨界減衰といい、cを求めると、
\(\sqrt{c^2-4mk}=0\)
\(c=2\sqrt{mk}\)
このcを臨界減衰係数といい、\(c_c=2\sqrt{mk}\)と置き換えます。
減衰係数(c)と臨海減衰係数係数(\(c_c\))の比を減衰比といい、次式で表されます。
\(\displaystyle 減衰比\zeta=\frac{c}{c_c}\)
では、各説明を見ていきましょう。
① 減衰が存在するとき,共振時の応答は有限の振幅になる。
【解説】○(適切)
共振は、外部からの振動の固有振動数が一致し、振幅が増大することです。
減衰がある時の振幅は、\(\frac{1}{2\zeta}\)となり、有限です。
減衰がない時は、減衰比 \(\zeta\) が0のため、振幅は無限となります。
② 減衰が存在するとき,自由振動は時間とともにゼロに収束する。
【解説】○(適切)
減衰は、振動が徐々に減少していきます。そのため、時間が経つとゼロになります。
③ 減衰が大きい場合は,減衰が無い場合に比べて共振周波数は小さくなる。
【解説】○(適切)
減衰が無い場合の共振周波数は、固有角振動数 \(\omega_n=\sqrt{\frac{k}{m}}\)です。
減衰がある時の共振周波数(固有角振動数\(\left(\omega_d\right)\))は、\(\omega_d=\omega_n \sqrt{1-\zeta}\)です。減衰があるため、共振周波数は \(\omega_n\) より小さくなります。
④ 減衰比が1より大きいときを過減衰という。
【解説】○(適切)
減衰比が1より大きいということは、\(c\text{≧}c_c=2\sqrt{mk}\)です。そのため、\(c^2>4mk\) となり、振動は発生せず、過減衰の状態です。
⑤ 減衰比は(カ/速度)の次元を持つ。
【解説】×(不適切)
減衰比は無次元です。
よって、正解は「⑤」です。
この問題で問われていることは?
この問題で問われていることは?
減衰や共振周波数を理解しているか。
電車や車に乗っている時を考えてください。振動があると音が大きくなったり、乗り心地が悪く感じたりします。元凶である振動の発生自体を無くすことも考えますが、動いているものの振動を無くすことはなかなか難しい・・・。そこで、できるだけ振動を小さくするため、共振周波数を探して対応します。技術者は、人間が不快に感じない音や乗り心地まで試行錯誤を繰り返しています。