目次
令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)16
令和2年度技術士第一次試験問題解答(機械)16
【正答番号:④】
【正答番号:④】
<この内容の解説者>
【経歴】元軸受メーカー技術者。現在は、自動車部品メーカー技術者。技術士一次試験(機械)合格。
【専門】軸受、材料力学、金属材料(熱処理)
<問題>
下図に示すように,厚さ5mm, 半径200mmの一様材質の円板に,200mm×100mmの長方形の穴が左右対称(図では Y 軸に対称)に空いている。図中の座標系の原点 O は円板の中心に一致している。この穴が空いている円板の重心 G の座標 (\(X_G ,\enspace Y_G\)) [mm] として,最も適切なものはどれか。
① \(\left(0 ,\enspace -50\right)\)
② \(\left(0 ,\enspace -9.5\right)\)
③ \(\left(0 ,\enspace 0\right)\)
④ \(\left(0 ,\enspace 9.5\right)\)
⑤ \(\left(0 ,\enspace 50\right)\)
【正答番号:④】
出典元: 公益社団法人日本技術士会
解説
機械力学の問題です。まず、剛体の重心の公式を思い出しましょう。
\(\displaystyle 全質量 m=\sum_{i=1}^{n}{m_i}\)・・・①
\(\displaystyle 重心 G=\frac{1}{m}\sum_{i=1}^{n}{m_i r_i}\)・・・②
\(m_i\)・・・各質点の質量
\(r_i\)・・・各質点の位置
剛体は、微小な質点の集合体と考えられ、ある位置(\(r_i\))の質点の質量(\(m_i\))がいっぱい集まってできます。
そのため、剛体の重心(\(G\))は、全質点の合計の力から全質量(全ての質点の質量の合計)で割ることで求めることができます。
こちらが参考になるので、確認することをおすすめします。
では、①、②式を用いて解説していきます。
まず、図を見ると、Y軸に対して対象なので、\(X_G=0\)です。
Y座標の重心を求めるため、1)穴が無い円板と2)穴(長方形)に分けて計算します。
1)穴が無い円板
穴が無い円板の質量\(m_1\)は、次式となります。
\(m_1=\rho \pi\ r^2 t\)
\(\rho\)・・・円板の密度
\(r\)・・・円板の半径
\(t\)・・・円板の厚さ
全質点の合計の力は、原点中心なので、0となります。
\(\displaystyle F_1=\sum_{i=1}^{n}{m_i r_i}=0\)
2)穴(長方形)
質量\(m_2\)は、次式となります。
\(m_2=\rho abt\)
\(\rho\)・・・穴(長方形)の密度
\(a\)・・・穴(長方形)の長辺の長さ
\((b\)・・・穴(長方形)の短辺の長さ
穴(長方形)の重心位置は、\((x_2,\enspace y_2) = (0,\enspace \frac{b}{2}\)となるので、全質点の合計の力は、
\(\displaystyle F_2=\sum_{i=1}^{n}{m_i r_i}=m_2 y_2=\frac{\rho ab^2t}{2}\)
1)、2)から穴が空いた円板の重心を求めましょう。
\(\displaystyle 重心 y_G=\frac{1}{m}\sum_{i=1}^{n}{m_i r_i}=\frac{F_1-(-F_2)}{m_1-m_2}=\frac{0-\left(-\rho ab^2 t /2\right)}{\rho \pi r^2 t-\rho abt}=\frac{ab^2/2}{\pi r^2-ab}\)
\(a=200\enspace mm\)、\(b=100\enspace mm\)、\(r=200\enspace mm\)を代入すると、
\(\displaystyle y_G=\frac{200\times100^2/2}{3.14\times200^2-200\times100}=9.47\fallingdotseq9.5\)
よって、正解は「④」です。
この問題で問われていることは?
この問題で問われていることは?
剛体の重心を理解しているか。
現在、3D-CADが広く使われるようになり、複雑な構造でもクリック一回で簡単に重心を求めることができます。求めるのは簡単ですが、どんな計算を用いているか理解してから設計変更した方が、速く設計案が浮かぶと思います。重心を動かすためには、どう設計変更すれば良いかの感覚をつかんでおくといいですね。
